「前よりコロナは怖くなくないけど、歯医者さんの治療器具はどうやってキレイにしているのかしら?」
「そもそもあの歯医者さんの『青い紙』と『ビニール』で包まれている理由って何?」
診察台に座ると聞きたくても聞けなくてモヤモヤしている方、多いのでは?
今回そのモヤモヤを解消すべく、ラビット歯科戸田の院長先生と歯科衛生士にざっくばらんに聞いてみました。
その1:歯科衛生士が徹底解説!ラビット歯科の「滅菌(めっきん)」作業について
目次
うちの滅菌機は、最高クラスの「クラスB」なんです
歯の治療に使う道具を包んでいる「紙とビニール」の正体は?
え?こんなところまで!「滅菌機」以外の感染対策
「消毒(しょうどく)」「殺菌(さっきん)」「滅菌(めっきん)」の違い
1日4回○○します
うちの滅菌機は最高クラスの「クラスB」なんです
―ラビット歯科戸田では、以前から「滅菌(めっきん)」の事についてホームページで患者さんに伝わるようお知らせしていたのを拝見していました。今回新しい機械が入ったとそうで、一番変わったところを教えてください。
歯を削る時に使う「タービン」や、歯科衛生士が「歯磨きで使う機械(コントラ)」は患者さんごとに滅菌した物を使用します。
―タービンは、いわゆる歯医者の音、「キュイーン」っていう音のやつですね?
はい。それらを滅菌する機械「オートクレーブ(高圧蒸気滅菌機/こうあつじょうきめっきんき;以下「滅菌機」)」を新しいものにしました!(その昔は、タービンをアルコールで拭くだけの時代もありました)
まずは、小型の滅菌機が「アイクレーブ(下記画像参照)」です。
大きい滅菌機も「リサ(下記画像参照)」に入れ替えました。滅菌機のクラスは、3段階に分かれていて・・・。
―3段階?
クラスが「S・N・B」の3 段階あり、今は「クラス B」の滅菌機で、ヨーロッパ基準の最 高クラスです。
「滅菌バッグ」の中まで滅菌できるのはクラス B だけで、クラスが下になると「滅菌 バッグ」の中身は滅菌が出来ません。
―クラスBだと、あの青い袋の中に入っているものを滅菌できるのですね?どういう仕組みの違いなのですか?
滅菌の工程が異なります。
「クラスB」には「減圧(げんあつ)工程」があります。歯を削るタービンは複雑な構造をしているので、高圧蒸気で滅菌する必要があります。熱だけでなく、「高圧で」「蒸気を伴って」滅菌するんですね。
ちなみに「クレーブ」とは分子などを「分裂させる」という意味だそうです。
歯の治療に使う道具を包んでいる「紙とビニール」の正体は?
―説明、ありがうございます。素朴な疑問ですが、どうして歯の治療に使う道具は「紙とビニール」に包まれているんですか?
治療器具が滅菌された後も使われるまで「無菌」でないとならないので、包装して「微生物的」に外界と中を隔離します。
―なるほど。でも、何でバッグに入れたまま滅菌出来るのですか??
滅菌バッグの紙面には、蒸気や酸化エチレンガスなどの滅菌材は通すけど微生物は通さない程度の「貫通孔」があります。この隙間を利用して内部が滅菌されるのです。
―ずっと疑問でした、なぞが解けました。(笑)
それはよかったです。
え?こんなところまで!「滅菌機」以外の感染対策
―それにしても、手間が掛かりますね。
手間は掛かりますけど、医療機関として「滅菌」は感染を防ぐための基本の「き」です。ちなみに、椅子なども患者さんごとにアルコールで拭いています。
また、歯科医師や衛生士が触るところもアルコールで拭きます。
手袋やコップ、エプロンなどは「ディスポーザブル」といって使いまわさず、使い捨てして新しいものに交換します。
「消毒(しょうどく)」「殺菌(さっきん)」「滅菌(めっきん)」の違い
―細かいところまでやっているんですね。先ほどから「滅菌(めっきん)」という単語が出てくるのですが、「殺菌(さっきん)」とは違うんですか?
菌の中でも、芽胞菌(がほうきん:熱や乾燥にも強い細菌)といって、硬い組織で守られて熱に耐えられる菌があります。
「滅菌(めっきん)」とは、全ての微生物を滅ぼす(ほろぼす)、殺滅(さつめつ)した状態を 作ることです。お口の中に入るものは「菌をゼロにする」ところにまで持っていきます。
「殺菌(さっきん)」は、特定の菌を殺しますが、全ての微生物ではありません。ちなみに、「消毒」とは細菌を弱めて人体に無害な状態にすることです。
清潔の度合いで言うと「消毒 < 殺菌 < 滅菌」となります。
―殺滅(さつめつ)って、すごいですね。(汗)言葉の定義を知るだけでも、安心できますね!
1日4回○○します
ちなみに、タービンは数が多くないと患者さんごとに交換できないので、大きい滅菌機には1日4回かけます。
―1日4回!?
だいたい午前中2,午後2回です。手が空いている人がやればいいのですが、治療等と並行しては出来ないので、自分や全体のアポイントをみて、「今やった方がいいな」という時に動いています。
その2:安部院長に聞いてみた!「滅菌機、なぜ必要なのか?」
目次
今回導入の「クラスB」滅菌機について
タービンへの投資について
なぜここに投資をするのか?
今回導入の「クラスB」滅菌機について
―今、歯科衛生士に聞きましたが、今回導入した機械(滅菌機:オートクレーブ)は「クラスB」だということで。
タービンの中まで蒸気が入って滅菌するのは「クラスB」だけです。以前使っていた「ダック」はタービン専用だったんですね。
今回導入した滅菌機「リサ(下記画像参照)」は、トレーなど基本の器具や外科で使う器具もしっかりと滅菌出来る・・・ウイルスなどあらゆるものの滅菌が可能です。また、「リサ」は滅菌パックのまま中に入れられます。滅菌して、最後の乾燥までしっかりと出来るので、滅菌工程が終わったらそのまま使えます。
滅菌バッグに入っているものは、タービンも含め完全な「滅菌(めっきん)状態」です。
タービンへの投資について
―患者さんが来院してタービンを使って、滅菌に時間も手間も掛かるとタービンの数も多くないと回らないですよね?
タービンは高い治療器具です。1本約15万円で、トータルで20本くらいあります。
―結構お高いんですね・・。
なぜここに投資をするのか?
投資としては大きいですが、そこにお金は掛けるべきです。目には見えないところだからこそ、患者さんが安心してラビットで医療を受けられるよう にキチッとやらないと。
従業員も安心感を持てるし、患者さんに「しっかりと滅菌してい ます」と自信をもって伝えられる体制とするために、今回はお金を使いました。リサが約130万円、アイクレーブが約50万円、プラス工事費です。定期的に交換する部品があり、ランニングコストも掛かりますが、それよりも「安心」というところでしょうかね。
スタッフが胸を張ってしっかり患者さんと会話するために、そういった事実は大事です。会話への自信も持てるし、曖昧だとぶれちゃうので。
滅菌の話はちょっと難しいので、分からなかったら遠慮なく直接聞いてくださいね。
その3:こんなにあるの?!実際の滅菌(めっきん)の手順を「画像」で解説!
滅菌手順
下洗い→消毒液につける→洗浄→パッキング→滅菌機にセット→滅菌機スタート→取り出してストック→患者さんのもとへ!
下洗い
血がついていると固まるので、まず手作業で洗います。
※タンパク質は固まります。
消毒液につける
洗浄
ミラーだけを別の向きにします、なぜかというとミラーが傷つくからです。
パッキング
余分な水分を取らないといけないので、しっかりと拭きます。
これらを入れます。
必要に応じてタービンに注油します。
滅菌機にセット
ここがマックスで5セット入りますので、平らにこのように置いていきます。
滅菌機スタート
滅菌には20分以上掛かります。
取り出してストック
患者さんのもとへ!